執筆・監修:白澤一弘(日本医師会認定産業医)
最終確認日:2026年8月30日
結論
ストレスチェックは、働く人自身にストレスへの気づきを促し、その結果を職場環境の改善につなげるために、原則として年1回実施する制度です。現在は常時50人以上を使用する事業場に実施義務があり、2028年(令和10年)4月1日から50人未満の事業場にも義務が拡大します。
会社が個人の結果を自由に閲覧する制度ではありません。誰を実施者にするか、結果を誰がどこに保管するか、高ストレス者から面接の申出があったときに誰がどう動くかまで決めて、はじめて回る制度です。実務でつまずくのは調査票の中身ではなく、この「体制の決め方」のほうです。
この記事では、対象の判定から実施、面接指導、集団分析、労働基準監督署への報告までを、担当者が実際に決める順番で解説します。
この記事でわかること
- 自社のどの事業場が、いつから義務の対象になるか
- 誰を実施者・実施事務従事者にできるか(人事担当者が担当できない業務はどれか)
- 実施から職場改善までの7ステップで、それぞれ何を決め、どこでつまずくか
- 個人の結果がどこまで会社に渡るのか
- 実施後の記録の保存と、労働基準監督署への報告
はじめて担当になった方は、「実施から職場改善までの7ステップ」から読んでも構いません。
まず押さえる5つのポイント
- 義務の判定は会社全体ではなく、原則として事業場単位で行います。
- 2028年3月31日までは、常時50人未満の事業場は努力義務です。
- 2028年4月1日から、50人未満の事業場にも実施義務が広がります。
- 個人結果は実施者から本人へ直接通知し、本人の同意なく事業者へ提供しないのが原則です。
- 事業者に実施義務はありますが、労働者に受検義務はありません。受けないことを理由にした不利益な取扱いは禁止されています。
いつから、どの事業場が対象になるか
| 時期 | 常時50人以上の事業場 | 常時50人未満の事業場 |
|---|---|---|
| 2028年3月31日まで | 年1回の実施義務 | 努力義務 |
| 2028年4月1日以降 | 年1回の実施義務 | 年1回の実施義務 |
出典:厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」、小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル
人数は、企業全体の従業員数ではなく、支店・店舗・工場など一定の独立性を持つ事業場ごとに数えます。本社に人事機能が集約されていても、判定は拠点単位です。複数拠点を持つ企業は、各拠点の人数・実施体制・結果の管理者を一覧にしてください。
「常時使用する労働者」には、正社員だけでなく、契約期間と労働時間の条件を満たすパート・アルバイトも含みます。50人を数える段階で正社員だけを数えないことが、最初の分岐点です。
なお、派遣社員のストレスチェックは、雇用関係のある派遣元に実施義務があります。一方で集団分析は、実際に働いている職場を管理する派遣先が、派遣社員も含めて行うことが望ましいとされています。個人の結果を派遣元から派遣先へ渡すには、本人の同意が必要です。
▶ 関連記事:従業員50人で発生する6つの義務と期限|産業医選任・届出の準備
ストレスチェックを受ける労働者
実施義務の対象は、一般の定期健康診断の対象者と同じ考え方で、次の両方を満たす人が基本です。
- 期間の定めなく使用される、または1年以上使用される予定である
- 週の所定労働時間が、通常の労働者の4分の3以上である
週の所定労働時間が4分の3未満でも、おおむね2分の1以上であれば実施が望ましいとされています。
つまずきどころ:名簿を「正社員一覧」から作ってしまうことです。雇用区分の名称ではなく、契約期間と所定労働時間で判定します。休職中の人の扱い(案内は送るが、本人の状態により無理に受検を求めない、など)も、方針として先に決めて文書にしておきます。
誰が何をするのか — 4つの役割
| 役割 | 主な担当 | 個人結果の取扱い |
|---|---|---|
| 制度担当者 | 計画、日程、委託先との調整 | 原則として個人結果を扱わない |
| 実施者 | 医師、保健師等。調査票、評価方法、高ストレス者の選定 | 取り扱う |
| 実施事務従事者 | 実施者の指示で配布・回収・結果通知等を補助 | 必要な範囲で取り扱う |
| 面接指導を行う医師 | 本人の申出に基づく面接、事業者への意見 | 面接に必要な情報を扱う |
実施者になれる人
実施者になれるのは、医師・保健師、および厚生労働大臣が定める研修を修了した歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師です。産業医が実施者を兼ねることもできますが、産業医であることが要件ではありません。契約している産業医が実施者を引き受けない運用の場合もあるため、契約時に確認してください。
外部機関に委託する場合も、実施者は委託先の医師や保健師が務めるのが一般的です。ただし、高ストレス者の判定基準をどうするか、面接の案内をどう出すかは、委託しても会社が決める部分が残ります。丸ごと預けられる制度ではありません。
人事権を持つ人が担当できない仕事
解雇・昇進・異動について直接の権限を持つ監督的地位にある人は、個人結果を扱う実施事務には従事できません。制度全体の企画、日程調整、委託先との契約といった、個人結果に触れない事務は担当できます。
やってはいけない例
- 人事部長が、面接の案内を出すためとして高ストレス者の一覧を受け取る
- 結果の入ったファイルを、人事の共有フォルダに保存する
- 個人結果が見える画面を使って、人事担当者が受検の督促をする
医師・保健師、および厚生労働大臣が定める研修を修了した歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師
産業医が実施者を兼ねることもできるが、引き受けない運用もある。契約時に確認する
実施者の指示で配布・回収・結果通知等を補助する。必要な範囲で個人結果を扱う
個人結果を扱う実施事務には従事できない。企画・日程調整・委託先との契約は担当できる
ここが分かれ目小規模な事業場では担当者が限られ、一人が何役も兼ねがちです。役割を分けられないときは、外部委託によって情報の入口を社外に置くのが現実的な解決策になります。
個人の結果は、どこまで会社に渡るのか
従業員から最も多い質問であり、担当者が最も説明に困る部分です。原則は次のとおりです。
- 個人結果:実施者から本人へ直接。会社は本人の同意なく受け取れない
- 本人が同意した場合:会社も個人結果を受け取れる(同意は結果が出たあとに、本人が個別に判断する)
- 本人が面接指導を申し出た場合:申し出た事実は会社に伝わる(申出の窓口が会社にあるため)
- 面接指導のあと:医師から会社へ、就業上の措置に必要な範囲の意見が伝わる。病名や面談での発言そのものを共有する制度ではない
- 集団分析の結果:部署単位の傾向として会社が受け取る(個人が推測できない単位にまとめる)
事前説明でこの流れを明示しておくと、受検率と回答の正直さが変わります。
事前説明でこの5段階を明示しておくと、受検率と回答の正直さが変わります。「会社に見られる」と思われたまま実施すると、集計値だけがきれいになり、制度が形だけ残ります。
▶ 関連記事:従業員の健康情報はどこまで共有できる?上司へ伝える範囲と文例
実施者を誰にするかで止まっている方へ
日本医師会認定産業医 白澤一弘がお答えします
ストレスチェックは、実施者・情報の管理・面接の窓口まで決めてはじめて回ります。御社の体制に合わせて、どこから決めればよいかをお伝えします。
実施から職場改善までの7ステップ
各ステップで「決めること」「つまずきどころ」を整理します。
- 1方針と年間日程を決める
50人以上の事業場は衛生委員会で審議し、議事録に残す
- 2調査票と実施方法を決める/実施する
職業性ストレス簡易調査票(57項目)が標準。判定基準は毎年同じにする
- 3本人へ結果を直接通知する
会社が全員の個人結果を一括取得する運用にしない
- 4面接指導の申出
直属の上司を通さずに申し出られる窓口を用意する
結果の通知後 おおむね1か月以内 - 5医師による面接指導
申出をした本人に対して実施する
申出から おおむね1か月以内 - 6医師の意見を聴き、就業上の措置を決める
措置の開始日と次回確認日をセットで決める
面接指導後 おおむね1か月以内が目安 - 7集団分析を職場改善につなげる
個人を推測できない単位(おおむね10人以上)でまとめる
- 8記録の保存と労働基準監督署への報告
記録は5年間保存。常時50人以上の事業場は年1回報告する
1.方針と年間日程を決める
決めること:対象者の範囲、実施時期、実施者、実施事務従事者、結果の保存場所と保存期間、高ストレス者の判定基準、面接申出の窓口と受付期間、費用と委託の有無。常時50人以上の事業場では、これらを衛生委員会で審議し、議事録に残します。
つまずきどころ:定期健康診断と同じ月に設定して、担当者と産業医の両方が回らなくなることです。健診の事後措置とストレスチェックの面接指導が重なると、面接の枠が取れません。健診と1〜3か月ずらすだけで運用が安定します。
やってはいけない例:年度末に「まだ実施していない」と気づき、調査票を配って回収するだけで終わらせる。集団分析も面接の案内もないまま「実施済み」にすると、翌年に何も残りません。
▶ 関連記事:衛生委員会の効果的な運営方法|よくある課題と産業医の活用ポイント
2.調査票と実施方法を決める
決めること:使用する調査票、高ストレス者の判定基準、回答方法(Web/紙)、回答期間。
厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」を使うのが標準です。判定基準は実施者の意見を聞いて決めます(合計点数による評価、領域ごとの評価など)。判定基準は毎年同じにすること。年ごとに変えると、経年での比較ができなくなります。
つまずきどころ:紙で実施し、回収した用紙を人事担当者が開封してしまうことです。紙で行うなら、封をしたまま実施者(または委託先)へ渡す動線にします。Webの場合は、本人以外がログインできない設計になっているかを委託先に確認します。
3.従業員へ事前説明する
決めること:案内文の内容と、説明の場(朝礼・イントラ・メール)。
案内には、制度の目的、個人結果の通知先、会社への提供条件、面接指導の申出方法、不利益な取扱いの禁止、問い合わせ先を明記します。
つまずきどころ:「受けてください」だけの一斉メールで済ませることです。従業員が知りたいのは「これは誰が見るのか」「正直に答えたら異動させられないか」の2点です。ここに答えていない案内は、受検率にも回答内容にも響きます。
4.本人へ結果を直接通知する
決めること:通知の形式(封書・Web閲覧)、通知の時期、結果の保存場所と閲覧権限。
結果は実施者から本人へ通知します。会社が受検者全員の個人結果を一括で取得する運用にしないでください。
つまずきどころ:通知に「高ストレスの方は申し出てください」の一文しか添えないことです。次に何が起きるのか(誰と、どこで、何分、何を話すのか)まで、結果とセットで届ける設計にします。
5.高ストレス者へ面接指導を案内する
決めること:申出の窓口(誰に、どの経路で)、受付期間、医師の手配。
高ストレスと判定され、面接指導が必要と判断された労働者には、申出方法と期限を分かりやすく案内します。申出は結果の通知後おおむね1か月以内に行うものとされ、事業者は申出を受けてからおおむね1か月以内に医師による面接指導を実施します。直属の上司を通さずに申し出られる窓口(社外相談窓口、産業保健スタッフ宛の専用メールなど)を用意してください。出典:こころの耳「長時間労働者、高ストレス者の面接指導について」
現実によくあること:高ストレスと判定されても、申出はほとんど来ません。上司に知られたくない、時間が取れない、「面接」という言葉が重い、といった理由が重なります。次のような打ち手があります。
- 案内文に「面接の内容は評価に使われない」「上司には共有されない」と明記する
- 申出の窓口を、社内と社外の2経路にする
- 実施者から全員に、面接以外の相談先(社外相談窓口、地域産業保健センターなど)も案内してもらう
- 申出がゼロだった年は、「なぜ申し出にくいのか」を衛生委員会の議題にする
やってはいけない例:申し出ていない高ストレス者を、会社が名指しで呼び出すこと。申出に基づく面接指導と、会社都合の呼び出しは別物です。
▶ 関連記事:産業医面談を拒否されたら?強制の可否と会社の対応手順を産業医が解説
6.医師の意見を踏まえて措置を検討する
決めること:医師の意見を受けたあとの決裁経路(誰が判断し、誰まで共有するか)と、本人への伝え方。
面接指導のあと、事業者は医師から意見を聴きます(面接指導後おおむね1か月以内が目安)。必要に応じて労働時間の短縮、業務量の調整、配置上の配慮などを検討します。
つまずきどころ:意見を受け取ったあと、社内で止まってしまうことです。「就業制限が必要」と書かれていても、誰が上司に伝え、いつから運用し、いつ見直すかが決まっていないと実行されません。措置の開始日と次回確認日をセットで決める運用にしてください。
やってはいけない例:病名や面談での発言をそのまま上司へ共有する。共有するのは、勤務のために必要な情報(残業の上限、業務内容の調整、次回の確認時期)に整理したものです。
7.集団分析を職場改善へつなげる
決めること:分析の単位、共有範囲、改善テーマ、担当者、期限。
仕事の量的負担、仕事の裁量、上司・同僚の支援などを部署単位で確認します。少人数の部署は、個人を推測できない単位(おおむね10人以上)にまとめます。
つまずきどころ:分析結果を管理職に配って終わることです。「支援が低い」と言われても、管理職は何をすればよいか分かりません。業務配分・会議の持ち方・相談経路といった具体的な行動に落とし、翌年の同じ設問で確認します。
実施後にやること — 記録の保存と労働基準監督署への報告
- 記録の保存:ストレスチェックと面接指導の結果の記録は、5年間保存します。保存場所と閲覧できる人を実施前に決めておきます(人事評価の情報と同じ場所に置かない)。
- 労働基準監督署への報告:常時50人以上の事業場は、年1回、「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を所轄の労働基準監督署へ提出します。
- 罰則:ストレスチェックを実施しなかったこと自体への直接の罰則は定められていませんが、報告義務を怠った場合は50万円以下の罰金の対象です。加えて、メンタル不調が生じたときに「安全配慮義務を尽くしていたか」が問われる場面では、実施と事後対応の記録が判断材料になります。
費用と外部委託の考え方
実務で見る金額としては、従業員50人規模の事業場で、年1回の実施に5万円程度が一つの目安です。費用は、実施方法(Web/紙)、対象人数、面接指導の有無、集団分析の範囲によって変わるため、見積もりを比べるときは、金額の大小よりどこまで含まれているかを揃えて確認してください。
見積もりで必ず確認する6項目
- 実施者は誰が務めるか(委託先の医師・保健師か、自社の産業医か)
- 高ストレス者の判定基準は選べるか、毎年同じ基準を維持できるか
- 個人結果の保存場所・保存期間・閲覧権限、契約終了後のデータの扱い
- 集団分析はどの単位まで出るか(部署別、経年比較の可否)
- 面接指導は含まれるか。含まれない場合、医師は誰が手配するか
- 労働基準監督署への報告書の作成を支援してもらえるか
50人未満の事業場が使える無料の支援:地域産業保健センター(地さんぽ)では、50人未満の事業場を対象に、登録産業医による高ストレス者の面接指導などを無料で実施しています。利用回数に上限があるため、管轄のセンターに事前に確認してください。出典:こころの耳「地域産業保健センター(地さんぽ)」
従業員向け案内文の例
当事業場では、皆さま自身のストレスへの気づきと職場環境の改善を目的に、ストレスチェックを実施します。個人の結果は実施者から本人へ直接通知され、本人の同意なく会社へ提供されることはありません。受検しないことや、面接指導を申し出たことを理由とする不利益な取扱いはありません。結果に応じた医師の面接を希望する場合は、直属の上司を介さず、案内に記載の窓口へお申し出ください。ご不明な点は〇〇(担当・連絡先)へお問い合わせください。
実施前チェックリスト
- □ 義務の判定を事業場ごとに行った
- □ 対象者を、雇用区分の名称ではなく契約期間と所定労働時間で確定した
- □ 実施者・実施事務従事者を決め、人事権を持つ人が個人結果を扱わない体制にした
- □ 高ストレス者の判定基準を決め、来年も同じ基準を使えるようにした
- □ 個人結果の保存場所・閲覧権限・保存期間(5年)を決めた
- □ 面接の申出を、直属の上司以外へ行えるようにした
- □ 医師の意見を受けた後の措置と決裁者、措置の開始日と見直し時期を決めた
- □ 少人数部署の集団分析で、個人を推測できないようにした
- □ 実施後の職場改善の担当者と期限を決めた
- □ (50人以上の事業場)労働基準監督署への報告書の作成担当と提出時期を決めた
よくある質問
従業員は必ず受検しなければなりませんか?
事業者には実施義務がありますが、労働者の受検は義務ではありません。制度の目的、情報の取扱い、不利益な取扱いをしないことを説明し、安心して受けられる環境を整えます。受検しない人が多い場合は、案内文で「誰が結果を見るのか」が伝わっているかを見直してください。
会社は個人の結果を見られますか?
本人の同意なく、実施者から事業者へ個人結果を提供することはできません。面接指導後に事業者が受け取る情報も、健康確保と就業上の措置に必要な範囲に限られます。
産業医がいない小さな事業場では、誰が実施者になりますか?
実施者になれるのは医師・保健師等で、産業医であることは要件ではありません。外部機関に委託し、委託先の医師・保健師に実施者を務めてもらうのが一般的です。高ストレス者の面接指導は、50人未満の事業場であれば地域産業保健センターを利用できます。
高ストレス者から面接の申出が来ません。放置してよいですか?
申し出ていない人を呼び出すことはできませんが、申し出やすい設計に見直す余地はあります。案内文の書き方、窓口の経路、面接の所要時間や場所(就業時間内か、社外か)を確認してください。申出ゼロが続く場合は、申し出にくい理由を衛生委員会で検討します。
派遣社員はどちらの会社が実施しますか?
ストレスチェックと面接指導は、雇用関係のある派遣元が実施します。集団分析は、実際の職場を管理する派遣先が派遣社員も含めて行うことが望ましいとされています。個人結果を派遣元から派遣先へ渡すには本人の同意が必要です。
実施しなかった場合、罰則はありますか?
実施しなかったこと自体への直接の罰則は定められていませんが、常時50人以上の事業場が労働基準監督署への報告を怠った場合は50万円以下の罰金の対象です。また、メンタル不調が生じた際の安全配慮義務の評価にも影響します。
集団分析を実施すれば終了ですか?
集団分析は職場改善の出発点です。優先課題、担当者、期限、確認する指標を決め、翌年度までに実施状況を振り返ります。
産業医としての実務ポイント
高ストレス者の面接指導で、その場で劇的な解決策が出ることは多くありません。それでも、申し出た本人にとっては「上司を通さずに相談できる経路があった」ことが意味を持ち、会社には「必要な手当てをした記録」が残ります。制度を回す価値は、この積み重ねのほうにあります。
その前提に立つと、受検率だけをKPIにするのは危うい指標の置き方です。次の3つを毎年確認すると、実効性を評価しやすくなります。
- 個人の結果を会社に見られないと理解している人の割合
- 面接を申し出やすいと感じる人の割合
- 集団分析から決めた改善施策の実施率
いずれも、調査票に1〜2問足すか、別の簡単な社内アンケートで測れます。数字が動かない年は、制度そのものより案内の仕方を見直すほうが早く効きます。
参考資料
- 厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」
- 厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」
- こころの耳「長時間労働者、高ストレス者の面接指導について」
- こころの耳「地域産業保健センター(地さんぽ)」
ストレスチェックの体制づくりをご相談ください
なごみ産業医事務所では、対象者の整理、実施者業務、高ストレス者の面接指導、情報管理、集団分析後の職場改善まで、企業の規模と体制に合わせて支援します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の適用は、事業場の状況と最新の法令・行政資料を確認してください。


