職場巡視チェックリスト(介護施設版)Excelテンプレート無料|31項目の見方・根拠・記入例

執筆・監修:白澤一弘(日本医師会認定産業医)
最終確認日:2026年10月29日

結論

  • 特養・老健・有料老人ホーム・グループホーム・デイサービスの職場巡視で使う、31項目のチェックリストです。見るのは、腰痛・感染・夜勤・休憩・暴力やハラスメントなど、職員の健康にかかわる環境です
  • 常時50人以上の労働者がいる事業所では、衛生管理者が少なくとも毎週1回、産業医が少なくとも毎月1回(条件を満たせば少なくとも2か月に1回)巡視します
  • 夜勤・仮眠・注射のない事業所では、当てはまらない項目を「/(該当なし)」にして使います
  • リフト、仮眠室、夜勤の職員の健康診断、結核の健康診断、カスタマーハラスメント対策など、〇△×で迷いやすい項目は、下の根拠の早見表で確かめられます

Excelのチェックシート(31項目・記入例つき)は、無料でダウンロードできます(会社名・お名前・メールアドレスの入力が必要です)。

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介護施設の職場巡視の頻度と義務。誰が行うか

職場巡視は、作業場を実際に歩いて、働く人の健康を損なうおそれがないかを確かめることです。介護施設では、居室・浴室・汚物処理室・休憩室・仮眠室などを回ります。

巡視する人頻度根拠
衛生管理者少なくとも毎週1回労働安全衛生規則 第11条第1項
産業医少なくとも毎月1回。条件を満たし、事業者の同意を得た場合は、少なくとも2か月に1回労働安全衛生規則 第15条第1項

産業医の巡視を2か月に1回にできるのは、事業者が産業医に、次の情報を毎月1回以上提供している場合です。

  • 衛生管理者が行った巡視の結果
  • 衛生委員会などで調査審議したうえで、事業者が産業医に提供することとした、健康障害を防ぐために必要な情報

このチェックシートを毎週記入して産業医に渡しておくと、1つ目の「衛生管理者が行った巡視の結果」として使えます。

50人未満の事業所では

衛生管理者・産業医の選任義務と、この巡視の義務は、常時50人以上の事業場が対象です。人数は法人全体ではなく、事業場ごとに数えます(「従業員50人で発生する6つの義務と期限」)。

グループホームやデイサービスなど、常時50人未満の事業所には、法令上の巡視の頻度の定めはありません。それでも、このチェックリストは、職員の働く環境を点検するときにそのまま使えます。

職場巡視チェックリスト(介護施設版・31項目)

〇△×/のつけ方

評価つけるとき
〇 問題なしそのままでよい
△ 改善を検討法令には触れないが、放っておくと不調や事故につながる
× 要改善法令の基準を下回っている、またはけが・急病に直結しうる
/ 該当なしその作業が無く、項目の対象にならない(夜勤のないデイサービスの仮眠室など)。必要な設備が無いだけなら「/」ではなく×

△・×をつけた項目は、「場所と状態」をセットで書きます。個人名や、個人の健康情報は書きません。

1. 介助と腰痛(4項目)

項目見るところ
全介助の移乗・入浴・排泄は、リフト等を使い抱え上げていない全介助の人を、職員が手で抱え上げていないか。リフトなどを使っているか(スライディングボードは、座位が保てる人に使う用具)
リフト等の福祉用具が壊れておらず、使う場所の近くにある故障したまま、遠くにしまったままになっていないか
介助時にベッドを上げ、中腰・前かがみを続けずに済んでいる介助のときにベッドの高さを上げているか
利用者ごとの介助方法(人数・用具)を職員が知っている1人で介助するか2人か、どの用具を使うかが決まっていて、職員が知っているか

2. 床・通路(3項目)

項目見るところ
浴室・トイレ・食堂まわりの床が濡れておらず、滑りにくい濡れたままの床、マットの有無
廊下に車いす・カート・物品が置きっぱなしになっていない一時的に置いた物が、そのままになっていないか
夜の巡回でも足元が見える明るさがある夜の巡回の時間帯の明るさ。日中の巡視では、夜勤の職員に聞いて確かめる

3. 入浴介助(2項目)

項目見るところ
浴室・脱衣所の暑さ・湿気に対策がある(換気・送風・水分)換気・送風、介助する職員の交代、水分補給
入浴介助中の体調不良の報告先と、休ませる手順が決まっている気分が悪くなった職員の報告先と、休ませる・体を冷やす手順

4. 感染予防(5項目)

項目見るところ
手洗い場に石けん・ペーパータオル・手指消毒剤がそろっている補充が切れていないか
手袋・エプロン・マスク・ゴーグルが使う場所の近くにある取りに行く手間で着けない、が起きない置き場所か
嘔吐物・排泄物の処理用具と、処理の手順の掲示がある処理用具がまとめて置かれ、手順が貼ってあるか
汚物処理室・洗濯室が清潔で、汚れた物を分けて置いている汚れた物ときれいな物が分かれているか
使った注射針は専用容器に捨て、キャップをし直していないインスリンなどの使った針の捨て方

このチェックリストは職員の健康を守る項目に絞っています。利用者の感染対策そのもの(施設の運営基準の領分)は入れず、職員の感染予防と重なる部分だけを入れました。

5. 消毒薬(2項目)

項目見るところ
小分けした消毒薬・洗剤の容器に、名前と注意が書いてあるペットボトルなどに移し替えて、中身が分からなくなっていないか
消毒薬を扱うときに手袋を着け、換気をしている素手で扱っていないか、締め切った部屋で使っていないか

6. 休憩・仮眠(4項目)

項目見るところ
職員の休憩場所が利用者の場所と分かれ、落ち着いて休める休憩中も利用者に呼ばれ続ける場所になっていないか
夜勤の仮眠場所が男女別にあり、寝具が清潔である男女別か、寝具の交換や清掃の状態
更衣室があり、仕事着と私物を分けて置ける汚れた仕事着と私物が一緒になっていないか
職員のトイレ・手洗いが清潔に保たれている清掃の状況

7. 暴力・ハラスメント(2項目)

項目見るところ
利用者・家族からの暴力・暴言の相談先と手順を職員が知っている相談先と対応の手順が決まっていて、職員に聞いて答えが返ってくるか
夜勤など少人数の時間でも、すぐ応援を呼べる呼び出しボタン・携帯電話など、応援を呼ぶ手段

8. 緊急時(2項目)

項目見るところ
消火器・非常口・避難経路の前に物がない車いすや物品で塞がっていないか
救急用具・AEDの場所と使い方を職員が知っている置き場所と使い方を、職員に聞いて答えが返ってくるか

9. 健康管理(7項目)

健康管理の項目の多くは、歩いて見るものではなく、記録で確かめます(禁煙は現場で見ます)。

項目見るところ
夜勤に常時入る職員が6か月以内ごとに健康診断を受けている年1回の健診だけで済ませていないか
介護職員に腰痛の健康診断(配置前と定期)をしている配置の前と、その後の定期に行っているか
長時間労働・夜勤が続く職員を医師の面接指導につないでいる該当する職員の把握と、面接指導へのつなぎ方
ストレスチェックの結果を職場の改善に使っている集団分析の結果を、職場の改善に使っているか
職員の結核健診を毎年度している(特養・老健・介護医療院等)対象の施設で毎年度行っているか。対象外の事業所は「/」
予防接種と、針刺し・感染時の受診の流れが決まっている予防接種をどう勧めているか。針刺しや感染が起きたとき、誰に報告してどこを受診するか
敷地内(建物内)禁煙が守られ、煙が流れてこない施設の決まりが守られ、煙が流れてこないか

31項目に入っていないもの

機械の安全の項目は入れていません。腰痛・感染・夜勤・休憩・暴力やハラスメントなど、産業医がふだん見ている範囲に絞りました。

オフィス部分(事務室)は、「職場巡視チェックリスト(オフィス版)」の項目と基準値で見られます。

迷いやすい項目の根拠(早見表)

〇△×で迷ったときや、施設に改善をお願いするときに使ってください。「義務」「努力義務」「指針」を分けています。居室やフロアは「事務所」ではないので、明るさなどは事務所衛生基準規則ではなく、労働安全衛生規則の基準で見ます(事務室の部分は事務所衛生基準規則)。

項目中身義務/努力義務/指針根拠
リフトなどの使用全介助の必要な人を抱え上げるときは、リフトなどを積極的に使い、原則として人力による抱上げは行わせない指針職場における腰痛予防対策指針(平成25年改訂)
床・通路床面はつまずき・滑りの危険がないように保つ。通路は常に有効に保ち、通路面から高さ1.8m以内に障害物を置かない義務労働安全衛生規則 第540条・第542条・第544条
明るさ常時就業させる場所は、普通の作業150ルクス以上、精密な作業300ルクス以上。照明設備は6か月以内ごとに点検義務同 第604条・第605条
暑さ・湿気暑熱・多湿で有害のおそれがある屋内作業場では温湿度を調節する。多量の発汗を伴う作業場には塩と飲料水を備える義務同 第606条・第617条
熱中症の報告体制と手順熱中症のおそれのある作業では、報告の体制と、悪化を防ぐ手順を決めて周知する(2025年6月1日施行)。入浴介助が対象になるかは、浴室の暑さと作業の時間による義務(対象の作業の場合)同 第612条の2
汚物の処理・洗濯と更衣の設備汚物は一定の場所で露出しないように処理し、病原体で汚れるおそれのある床・容器などは必要に応じて消毒する。体や服が汚れる業務には、洗眼・洗身・更衣・洗濯の設備を設ける義務同 第624条・第625条
小分けした容器の表示ラベル表示の対象物などを容器に入れて保管するときは、名前と人体への作用を明示する。対象かどうかはSDS(安全データシート)で確かめる義務(対象物の場合)同 第33条の2
休憩の設備有効に利用できる休憩の設備を設けるよう努める努力義務同 第613条
仮眠の場所夜間に睡眠を与える必要があるときや、仮眠の機会があるときは、睡眠・仮眠の場所を男女別に設け、寝具を備え、感染を予防する義務同 第616条
トイレ男女別。同時に就業する人数で、男性用大便所は60人以内ごとに1個以上、男性用小便所は30人以内ごとに1個以上、女性用は20人以内ごとに1個以上。手洗い設備を設け、清潔に保つ(同時に就業する人が常時10人以内なら、男女共用の独立個室型1つでよい)義務同 第628条・第628条の2
救急用具救急用具を備え、置き場所と使い方を周知し、清潔に保つ。AEDは法令の義務ではない義務同 第633条
夜勤の職員の健康診断深夜業を含む業務に常時従事する人は、配置替えの際と、6か月以内ごとに1回の健康診断義務同 第45条・第13条第1項第3号ヌ
腰痛の健康診断介護作業などに常時従事する人に、配置の前と、その後の定期に腰痛の健康診断指針職場における腰痛予防対策指針
医師の面接指導時間外・休日労働が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる人から申出があったときの医師の面接指導は義務。夜勤が続くことだけでは、この要件に当たらない。夜勤が続く職員への面接は、健康への配慮が必要な人への措置(努力義務)の範囲義務/努力義務労働安全衛生法 第66条の8・第66条の9、労働安全衛生規則 第52条の2・第52条の3
ストレスチェック検査の実施は1年以内ごとに1回。チェックリストの項目は、その結果を職場の改善に使っているかを見る(この表の「義務」は検査の実施についての区分)義務(検査の実施・常時50人以上の事業場)労働安全衛生法 第66条の10・労働安全衛生規則 第52条の9
結核の健康診断介護老人保健施設・介護医療院、特別養護老人ホーム・養護老人ホーム・軽費老人ホームなどで働く人は、毎年度。有料老人ホーム・グループホーム・デイサービスは、この条文の対象に入っていない義務(対象の施設の場合)感染症法 第53条の2・同施行令 第11条・第12条
カスタマーハラスメント対策カスタマーハラスメント対策(相談の体制、対応の手順など)が、事業主の雇用管理上の措置義務になった(2026年10月1日施行)義務労働施策総合推進法

針刺しを防ぐ手順(使った針にキャップをし直さない、専用の容器に捨てる)や、職員の予防接種は、労働安全衛生の法令の条文で決まっているものではありません。どちらも職員を守るための一般的な手順として、チェックリストに入れています。

禁煙の項目は、健康増進法の区分で守るべき形が変わります。第一種施設は敷地内禁煙が原則で、特定屋外喫煙場所を設けられます。第二種施設は屋内禁煙が原則で、喫煙専用室などを設けられます。介護施設は、施設の種類によって区分が違います。法令どおりに特定屋外喫煙場所や喫煙専用室を置いている施設では、その運用が守られているかを見て、×にはしません。

巡視記録の書き方(記入例)

Excelの2枚目には、はじめて巡視する方向けの記入例が入っています。その一部です。施設名・人名・日付は架空のものです。

項目評価気づいたこと・場所
全介助の移乗・入浴・排泄は、リフト等を使い抱え上げていない×2階浴室のリフト故障中。2人で抱えて移乗
嘔吐物・排泄物の処理用具と、処理の手順の掲示がある△2階に処理セットなし。手順の掲示もなし
夜勤の仮眠場所が男女別にあり、寝具が清潔である△仮眠室の寝具の交換が月1回だけ
夜勤に常時入る職員が6か月以内ごとに健康診断を受けている×夜勤に常時入る職員が健診年1回だけ

夜勤の健診の×は、その職員が深夜業を含む業務に常時従事している場合につけます。

×をつけた項目は、「次回までに改善すること」に必ず書き起こします。誰が・いつまでに、まで決めます。設備や場所の×は、その場で写真を撮っておくと、次の人が同じ場所を確かめられます。

次回までに改善すること(記入例)
1. 浴室リフトの修理を依頼。直るまでは1階浴室のリフトを使う / 担当:主任 / 期限:11月13日
2. 夜勤に常時入る職員が6か月以内ごとに健診を受けられるよう、次回の健診日を決める(次回は12月) / 担当:事務長 / 期限:12月25日
3. 2階に嘔吐物の処理セットを置き、処理の手順を貼り出す / 担当:看護 / 期限:11月13日

次の巡視では、前回の×から先に見ます。直っていれば〇に変えて完了です。

衛生委員会がある事業所では、このシートは委員会に報告され、施設の中で共有されます。「◯◯さんが腰を痛めた」とは書かず、場所と状態で書きます。個別の健康相談はシートに書かず、産業医などの相談先に直接伝えてもらいます。

巡視記録そのものの保存期間は、法令では決まっていません。衛生委員会の議事録(3年保存)に合わせて、3年保存にしておくと扱いやすくなります。

フロアやユニットが多い施設の回り方

フロアやユニットが多い施設では、1回の巡視で全部を回らなくてかまいません。シートの「巡視した場所」の欄に、その日に回った場所を書いて、順番に回ります。

そのかわり、しばらく見ていない場所を記録で把握し、見ていない場所を作らないようにします。前回の×と△は、場所が違っても毎回見ます。

よくある質問

デイサービスなど、夜勤のない事業所でも使えますか?

使えます。夜勤・仮眠・注射など、その事業所に無い作業の項目は、評価欄を「/(該当なし)」にしてください。作業があるのに必要な設備が無い場合は、「/」ではなく×です。

結核の健康診断は、すべての介護施設で毎年必要ですか?

すべてではありません。感染症法で毎年度の定期健康診断が決まっているのは、介護老人保健施設・介護医療院や、特別養護老人ホーム・養護老人ホーム・軽費老人ホームなどです。有料老人ホーム・グループホーム・デイサービスは、この条文の対象に入っていません。対象外の事業所は「/」にしてください。

夜勤に入る職員は、全員6か月ごとに健康診断が必要ですか?

対象は、深夜業を含む業務に常時従事する人です(労働安全衛生規則 第45条)。たまに夜勤に入る人までが一律に対象になるわけではありません。夜勤に常時入る職員が、配置替えの際と6か月以内ごとに1回、健康診断を受けているかを確かめてください。

チェックシートは自施設で作り直してもいいですか?

構いません。配布しているExcelは、項目を足したり消したりして使えます。施設の設備や利用者の状態に合わせて、項目を足してください。

職場巡視チェックシート(介護施設版・Excel)を無料で配布しています

この記事の31項目を、そのまま記入できるExcelのチェックシートにしています。A4の1枚で1回分です。

  • 職場巡視チェックシート(介護施設版)
  • Excel・2シート(記入用のチェックシートと、記入例)・31項目
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病院・有床診療所向けの「病院版」、事務所向けの「オフィス版」も、同じページで配布しています。

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参考資料

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の判断は、最新の法令・施設の規程を確認したうえで行ってください。

なごみ産業医事務所
■事業所名

なごみ産業医事務所

■設立

2024年11月

■代表者

白澤一弘

■所在地

〒141-0031
東京都品川区西五反田2-9-7 ドルミ五反田407号

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