この記事のポイント
- 職場巡視は設備だけでなく、作業方法・動線・働き方も確認する
- 指摘事項は優先度・担当者・期限を決めて記録する
- 次回巡視で改善状況まで確認する
実務上の注意:巡視を写真撮影や指摘だけで終わらせず、現場の従業員から困りごとを聞くと、実効性の高い改善につながります。

職場巡視とは
職場巡視とは、産業医や衛生管理者が定期的に作業場を巡回し、労働者の健康障害を防止するために必要な措置を講じる活動です。労働安全衛生規則第15条により、産業医は少なくとも毎月1回(一定の条件を満たす場合は2か月に1回)、作業場を巡視することが義務づけられています。
職場巡視は、書面だけではわからない職場の実態を把握し、健康リスクを未然に防ぐための重要な活動です。デスクワーク中心のオフィスであっても、照明、温湿度、換気、騒音、作業姿勢など、確認すべき項目は数多くあります。
産業医による職場巡視のチェックポイント
作業環境に関するチェック
温湿度・換気:室温は17〜28℃が目安で、湿度は40〜70%が適切です。CO2濃度が高い場合は換気が不十分なサインです。特にコロナ禍以降、換気の重要性が再認識されています。
照明:一般的な事務作業では300ルクス以上、精密な作業では750ルクス以上が推奨されています。画面のちらつきやまぶしさ(グレア)がないかも確認します。
騒音:事務所内では50デシベル以下が望ましいとされています。電話の音、空調の音、外部からの騒音なども確認対象です。
整理整頓・5S:通路に障害物がないか、非常口が確保されているか、転倒リスクはないかなどを確認します。整理整頓は安全だけでなく、業務効率にも影響します。
作業方法に関するチェック
VDT作業(パソコン作業):ディスプレイとの距離、椅子の高さ、キーボードの位置など、適切なワークステーションが確保されているか確認します。連続作業時間や休憩の取り方も重要なチェック項目です。
作業姿勢:腰痛や肩こりの原因となる不自然な姿勢がないか、長時間の同一姿勢作業がないかを確認します。立ち作業と座り作業のバランスも見ます。
重量物の取り扱い:重い荷物の運搬方法が適切か、補助器具の使用状況はどうかを確認します。
衛生管理に関するチェック
トイレ・休憩室:清潔に保たれているか、十分な数が確保されているかを確認します。休憩室は横になれるスペースがあることが望ましいです。
救急用具:AEDの設置場所、救急箱の中身(有効期限も含む)、緊急時の連絡体制を確認します。
受動喫煙対策:2020年4月の改正健康増進法により、職場での受動喫煙対策は企業の義務です。喫煙場所の分煙が適切に行われているかを確認します。
職場巡視の効果と活用方法
職場巡視は、単なる形式的なチェックではありません。適切に活用することで、以下のような効果が期待できます。
労災事故の予防:危険箇所や不安全な作業方法を早期に発見し、改善することで、労災事故を未然に防ぐことができます。巡視で指摘した事項を記録し、改善状況をフォローアップすることが重要です。
従業員の健康意識向上:産業医が定期的に職場を巡回することで、従業員の健康に対する意識が自然と高まります。産業医に直接相談できる機会としても活用できます。
衛生委員会との連携:職場巡視の結果は衛生委員会で報告し、全社的な改善活動につなげます。現場の声を経営層に伝える重要なチャネルにもなります。
効果的な職場巡視のために
職場巡視を形骸化させず、実効性のあるものにするためには、巡視チェックリストの活用、前回指摘事項の改善確認、従業員からのヒアリングが重要です。また、季節に応じた重点項目(夏場の熱中症対策、冬場のインフルエンザ対策など)を設定することも効果的です。
なごみ産業医事務所では、経験豊富な産業医が丁寧な職場巡視を行い、具体的な改善提案とフォローアップまで一貫して対応しています。「職場巡視が形式的になっている」「改善の仕方がわからない」という企業様は、ぜひご相談ください。
職場巡視の頻度は原則毎月1回
産業医の職場巡視は原則として毎月1回です。ただし、事業者から所定の情報が毎月提供され、事業者の同意を得ている場合は、少なくとも2か月に1回とすることができます。単に日程が合わないことだけを理由に頻度を減らすことはできません。
巡視を改善につなげる3段階
| 段階 | 実施内容 |
|---|---|
| 事前 | 残業・休災・健診等の集計、前回指摘、レイアウト変更を共有し、巡視ルートを決める |
| 当日 | 設備だけでなく、作業者への短い聞き取りで「実際の作業」を確認する |
| 事後 | 指摘を緊急・期限付き・経過観察に分け、担当者と完了予定日を決める |
職場巡視記録に残す項目
- 実施日、巡視者、対象エリア
- 良好な点と改善が必要な点
- 写真・場所・リスクの具体的内容
- 優先度、担当部署、期限、暫定措置
- 再確認日と完了判定
オフィスでは照明・温熱・通路・情報機器作業、倉庫や製造現場では機械、化学物質、保護具、重量物、暑熱環境など、業種に応じてチェック項目を分けます。在宅勤務者には、作業場所の自己点検票や面談を組み合わせます。
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