産業医の費用を比較するときは、月額報酬だけでなく、訪問時間・面談件数・健診後の対応をそろえた年間総額で見積もります。人数や業務内容によって条件が異なるため、「全国一律の相場」として一つの金額を当てはめることはできません。
例えば愛知県医師会の公表する目安では、基本月額は100人以下で5万円以上、101~200人で6万5千円以上です。ただし、これは地域の参考資料で、ストレスチェック対応の報酬を含まず、交通費も別です。当事務所の料金表ではありません。
費用相場を見るときの参考:公開されている報酬例
| 対象人数 | 基本月額報酬の公表目安 | 12か月分の基本報酬 |
|---|---|---|
| 100人以下 | 50,000円以上 | 600,000円以上 |
| 101~200人 | 65,000円以上 | 780,000円以上 |
| 201~300人 | 80,000円以上 | 960,000円以上 |
出典:愛知県医師会産業保健部会「嘱託産業医報酬の目安」(2026年9月18日閲覧)。年額は掲載月額を12倍した計算値で、追加業務・交通費等を含めた請求総額ではありません。税込・税別や適用条件は見積書で確認してください。
この表だけで東京の契約が高い・安いとは判断できません。また「○万円から」という最低額を見つけても、対象人数、訪問時間、契約に含む業務が自社と一致するかを確認する必要があります。

見積もりでそろえる8つの条件
| 条件 | 確認する質問 |
|---|---|
| 対象事業場 | どの拠点・人数が料金の対象か。複数拠点は別契約か |
| 訪問頻度と時間 | 1回何分、何回か。移動時間や延長分はどう扱うか |
| 職場巡視・衛生委員会 | 月額に含まれるか。記録や資料の担当は誰か |
| 健診後の対応 | 何人分まで含むか。確認方法、納期、意見書はどうなるか |
| 個別面談 | 休職・復職、長時間労働、高ストレス者の面談を何件含むか |
| ストレスチェック | 実施者業務、検査費、集団分析、面接指導を別々に確認したか |
| 訪問日以外の相談 | 相談窓口、対応時間、返答の目安、臨時対応の料金はどうか |
| 諸費用・契約条件 | 交通費、初期費用、紹介手数料、更新・交代・解約、税の扱いはどうか |
料金に含む範囲は提供者ごとに異なります。「産業医業務一式」という表現だけで進めず、必要な作業を具体的に見積書・契約書へ落とし込みます。
年間予算の計算例:月額だけでは比較できない
年間総額の見込み=月額×12+追加対応の単価×見込件数+初期費用+交通費等です。次は比較の考え方を示す架空例で、実際の料金や当事務所の見積もりではありません。税・交通費等は両案とも別途確認する前提です。
| 比較項目 | A案(架空) | B案(架空) |
|---|---|---|
| 基本月額 | 40,000円 | 50,000円 |
| 基本報酬の年額 | 480,000円 | 600,000円 |
| 年間6回の追加面談 | 30,000円×6回=180,000円 | 想定6回は基本料金に含む |
| ここまでの小計 | 660,000円 | 600,000円 |
A案の月額が1万円低くても、想定する面談を含めると小計はB案が6万円低くなります。反対に、面談が不要なら結果は変わります。「通常時」と「休職者対応などが増えた場合」の2通りで試算すると、社内稟議で説明しやすくなります。
面談件数のほか、健診結果の確認人数、臨時訪問、主治医との連携、意見書作成が追加対象になるかも見積もってください。
契約経路と費用の確認先
| 経路 | 確認すること |
|---|---|
| 地区医師会 | 紹介を行っているか、手数料・紹介条件、報酬交渉の進め方 |
| 紹介会社 | 医師の報酬と運営支援・紹介手数料の範囲、交代時の条件 |
| 事務所・医師への直接依頼 | 担当医、支援範囲、代替体制、追加業務の扱い |
紹介が常に無料とは限らず、支援範囲も窓口によって異なります。候補の探し方と面談時の質問は、産業医の探し方・選び方にまとめています。
人事から送る見積もり依頼文
件名:産業医契約のご相談・お見積もり依頼
当社では○○事業場(所在地○○、業種○○、常時使用する労働者○人)の産業医契約を検討しています。開始希望は○年○月です。主な相談事項は○○です。
希望業務は、職場巡視、衛生委員会、健診結果○人分の確認、年間○件程度の面談です。必要な訪問頻度・時間についてもご提案ください。基本料金に含む業務と上限、追加料金、交通費・税、訪問日以外の相談、担当医・代替体制、解約条件が分かるお見積もりをお願いします。
初回の比較には、従業員の氏名や診断書など個人の健康情報は不要です。件数と必要な業務を示してください。
費用についてよくある質問
スポット面談だけで産業医の選任に代えられますか?
常時50人以上の事業場では産業医の選任が必要です。単発の面談依頼だけで選任や必要な産業医業務を満たすとは限りません。人数や業務内容と必要な体制を先に確認します。根拠:厚生労働省「産業医について」。
訪問回数を減らせば安くできますか?
費用だけで訪問頻度を決めず、必要な職場巡視・委員会・面談を実施できるかを確認します。法令上の条件と契約上の訪問回数は分けて検討してください。
50人未満なら健康管理の費用はかかりませんか?
産業医の選任義務がない規模でも、健診後の対応などは必要です。外部医師への依頼や地域産業保健センターの支援について、対象・回数・支援範囲を確認します。「無料相談がある」ことと、すべての業務を無料で委託できることは同じではありません。
社内検討を進めるために
まず対象人数・拠点・必要業務を整理し、同じ条件で見積もりを取ります。選任後の準備は、無料の産業医選任ガイドもご利用ください。当事務所に依頼できる業務はサービス内容、自社の条件に合わせた相談は初回オンライン相談(30分無料)でご案内しています。


