がん、難病、脳卒中、心疾患、糖尿病などの治療を続ける従業員から「仕事を続けたい」と相談を受けたとき、会社は何から始めればよいのでしょうか。
両立支援の出発点
まず本人の希望と困りごとを確認し、本人の申出を起点に進めます。会社だけで就業可否を決めず、本人・主治医・産業医等・職場が必要な情報をつなぎ、具体的な両立支援プランを作ります。
最初の面談で確認すること
初回面談の目的は、病名を詳しく聞くことではなく、本人が働き続けるうえで必要な支援を把握することです。
| 確認したいこと | 避けたい対応 |
|---|---|
| 治療と仕事をどう両立したいか | 「まず休職すべき」と先回りして決める |
| 通院日、治療予定、症状の波 | 治療内容や予後を必要以上に詮索する |
| 難しい業務・続けられる業務 | 病名だけで配置や評価を決める |
| 上司・同僚へ伝えてよい範囲 | 本人に説明せず職場へ広く共有する |
| 主治医との情報連携への意向 | 本人の意向を確認せず主治医へ照会する |
治療と仕事の両立支援・4つのステップ
ステップ1.本人から支援の申出を受ける
支援は本人の申出から始めます。会社は相談窓口、利用できる休暇・勤務制度、情報の取扱いを説明し、どの範囲まで情報を共有してよいかを確認します。
ステップ2.主治医へ勤務情報を伝え、意見を得る
職務内容、勤務時間、通勤、出張、身体・心理的負荷、利用できる制度を「勤務情報提供書」などで主治医へ伝えます。情報が具体的であるほど、主治医は仕事に即した意見を書きやすくなります。
ステップ3.産業医等が就業上の措置を整理する
主治医の意見と実際の職場条件を踏まえ、産業医等が就業継続の可否、配慮内容、期間、見直し時期について意見します。診断名ではなく、業務との適合性を確認する工程です。
ステップ4.会社が両立支援プランを作成する
本人と話し合い、勤務時間、業務、通院への配慮、情報共有範囲、緊急時対応、定期面談、見直し日を文書にします。治療予定が変わることを前提に、更新できる計画にします。
両立支援で検討できる配慮例
| 課題 | 配慮の例 |
|---|---|
| 定期通院がある | 時間単位・半日休暇、通院日の固定 |
| 治療後に疲労が強い | 短時間勤務、時差出勤、在宅勤務 |
| 感染リスクを避けたい | 混雑時間を避ける、対面業務を一時調整 |
| 重量物や長時間立位が難しい | 一時的な業務変更、補助者の配置 |
| 体調に波がある | 休憩場所、急な休暇、業務のバックアップ |
| 長期治療になる | 定期面談と段階的な配慮の見直し |
「当面の間」で終わらせない:配慮には「○月○日まで」「次回治療後に見直す」など期限・見直し日を必ず設定します。長すぎる固定措置は、本人にも職場にも不安を残します。
周囲の従業員への配慮も忘れない
業務の再分担が続くと、同僚に負担が偏ることがあります。本人の病名を伝えなくても、会社として一時的な業務調整を行っていること、期限と見直し日、困ったときの相談先は共有できます。
- 業務量と担当をチーム全体で見直す
- 属人化を減らし、バックアップ担当を決める
- 管理職だけで抱えず、人事・産業医等へ相談する
- 本人に関する情報は、同意した範囲を超えて伝えない
両立支援プランに入れる項目
- 本人の希望と支援の目標
- 勤務時間・場所・業務内容
- 通院・治療予定と休暇の扱い
- 避ける作業、緊急時の対応
- 上司・同僚への情報共有範囲
- 面談日、措置の期限、見直し日
2026年4月から適用される厚生労働省の「治療と就業の両立支援指針」では、相談体制、柔軟な制度、本人の意向を踏まえた支援、関係者間の連携が示されています。公式様式を活用すると、中小企業でも手順を標準化できます。
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参考資料・様式
両立支援を制度と実務の両面から支援します
相談窓口、主治医との情報連携、産業医意見書、両立支援プラン、管理職への説明まで一緒に整えます。


