休職中の従業員への連絡は、療養を妨げない必要な事務連絡と、仕事の依頼を分けることが基本です。会社側の窓口を決め、本人と連絡手段・頻度・返信が必要な事項を確認します。病状の詳しい説明や、復帰日の即答を繰り返し求める運用は避けます。
この記事は、休職中の従業員への連絡を担当する人事・労務・上司向けに、連絡してよい内容、メール例文、返信がない場合の対応を整理したものです。
休職中に連絡してよいこと・控えること
| 内容 | 会社の対応 |
|---|---|
| 休職期間、必要書類、給与・保険料、申請手続き | 本人の不利益や手続き漏れを防ぐため、必要事項と期限をまとめて窓口から伝える |
| 定期的な状況確認 | 本人の負担と希望を確認し、合意した方法・間隔で行う。詳細な治療内容を一律に求めない |
| 復職手続きの案内 | 手続きと相談先を伝える。復職日を一方的に迫らない |
| 顧客対応、資料作成、会議参加など仕事の依頼 | 休職中の通常業務を前提にせず、まず社内の引継ぎ資料や代替担当で対応する |
| 同僚からの見舞い・雑談 | 本人の希望を尊重し、返答や近況説明を求めない。多数から個別連絡が届かないよう配慮する |
「業務連絡」という名称でも、書類の提出先を知らせることと、仕事を処理してもらうことは別です。どうしても本人にしか分からない事実の確認が必要な場合は、社内で代替手段を検討したうえで、人事・産業医等に相談し、本人の状態と負担を踏まえて扱います。
本人にしか分からないことを聞く必要が出たとき
原則は、休職中の本人に仕事をしてもらわないこと。聞いてよいのは「場所」と「有無」まで。「作業」は頼みません。
それでも、引継ぎ資料のパスワードや、取引先との約束の有無など、本人しか知らないことが出てくる場合があります。そのときの手順です。
- 先に社内で探す。共有フォルダ、送受信メール、同じ案件に関わった同僚。ここで多くは見つかります。
- 窓口の担当者から、1回にまとめて聞く。上司や同僚がばらばらに連絡しない。
- 「はい・いいえ」か「場所」で答えられる形にする。「○○の資料はどこにありますか」はよい。「○○の資料を仕上げてもらえますか」は仕事の依頼です。
- 返信の期限を切らない。「体調のよいときで構いません」と書き、返事がなくても催促しない。
- 聞いたことと答えを記録する。連絡記録表に、日時・内容・本人の様子を残す。
メール文例(やむを得ず確認するとき)
件名: 【返信は体調のよいときで】○○の資料の保存場所について
○○さん
人事の△△です。療養中に恐れ入ります。
○○社向けの見積書の最新版が、共有フォルダに見当たりません。保存先をご存じでしたら、場所だけ教えてください。
作業をお願いするものではありません。ご返信は体調のよいときで構いませんし、分からなければそのままで大丈夫です。
業務は□□が引き継いでいます。
休職に入る前に済ませておくこと
- 進行中の案件ごとに、引き継ぐ人と取引先への伝え方を決める
- 共有フォルダと資料の保存場所を、担当者以外も分かる状態にする
- 業務用のID・パスワードは、会社の管理方法に合わせて引き継ぐ
休職中の労務の扱いや賃金への影響は、就業規則と労務の専門家に確認します。産業医が判断する範囲ではありません。
頻度は一律に決めず、連絡ルールを合意する
時期ごとの目安(運用例)
| 時期 | 頻度の目安 | 手段 | 主に伝えること |
|---|---|---|---|
| 休職に入るとき | 1回 | 面談か書面。あわせてメールで控えを渡す | 窓口の担当者、連絡の手段と頻度、手続きと期限 |
| 療養の初期 | 月1回程度 | メール・郵送。返信不要と明記 | 期限のある手続き。急ぎの用件がなければ「新しくお願いすることはありません」の1行 |
| 回復してきた時期 | 2週間に1回程度 | 電話や面談を少しずつ混ぜる | 生活リズムの様子、復職の手続きの流れ |
| 復職の申し出のあと | 手続きに合わせて | 面談 | 主治医の意見の確認、産業医面談、復職支援プラン |
目安は厚生労働省「こころの耳」のQ&A(療養の初期は月1回程度、回復に伴い2週間ごと、手段も電話・対面へ変えていく)に沿っています。
「毎週」「月1回」といった一律の正解はありません。例えば月1回の定期連絡を運用例にしつつ、本人の状態、主治医・産業医等の意見、必要な手続きの時期に応じて調整します。これは法定頻度ではありません。
- 誰から窓口を一つにまとめる
- 人事担当者など、会社側の連絡窓口を決める。
- どう・いつ手段と頻度を合意する
- メール・電話・郵送など、本人が対応しやすい方法で。頻度・次回日・変更方法も確認する。
- 返信は要否と期限を明確にする
- 返信不要のお知らせと、期限内に確認が必要な連絡を分ける。
- 連絡困難時:代替の手段と、家族等への連絡を検討する条件
- 緊急時:安否の懸念がある場合の連絡先・対応責任者
上司との関係が不調に関係している場合は、直属上司からの連絡を前提にせず、人事や産業保健スタッフを窓口にします。電話が負担ならメールへ変更し、事前連絡のない訪問は慎重に扱います。
厚生労働省の職場復帰支援の手引きは、休業中からの情報提供や相談対応、復帰後の支援を含む流れを示しています。以下の文例・連絡ルールは、それを実務に落とし込むための例で、国が定めた定型文ではありません。
人事から送るメールの例文
1.休職開始時に窓口を案内する
件名:休職中の連絡窓口とお手続きについて
○○さん
人事の○○です。療養中の連絡窓口は私が担当します。必要な手続きはこの窓口からまとめてご案内します。連絡はメールを予定していますが、負担がある場合は別の方法も調整できます。次回の連絡を○月○日ごろとすることで差し支えないか、可能な範囲でお知らせください。上司・同僚からの個別連絡について希望があれば、あわせてお伝えください。
2.返信不要の定期連絡を送る
件名:【返信不要】次回のご連絡予定のお知らせ
○○さん
人事の○○です。今回は次回の連絡予定日のみのお知らせです。次回は○月○日ごろにご連絡します。今回のメールへの返信は不要です。手続きで困っていることや連絡方法の変更希望があれば、対応できるときにこの窓口へお知らせください。
3.期限のある書類について確認する
件名:【○月○日までにご確認】休職手続きの書類について
○○さん
人事の○○です。○○の手続きのため、○○の書類を○月○日までに○○へお送りいただく必要があります。提出が難しい場合や、案内の確認が負担になる場合は、可能な連絡方法で人事へお知らせください。事情を確認して対応を相談します。病状の詳しいご説明をこのメールでお願いするものではありません。
申請期限・休職満了日・提出先は、自社の規程と制度の案内を確認して記入します。期限のある依頼に「返信不要」を混在させないことがポイントです。
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返信がない・連絡を嫌がる場合の対応
- 返信が必要な案内だったか確認:返信不要と伝えていた場合や合意した期日前は、未返信だけで問題としません。
- 届いているか・手段に負担がないか確認:連続して電話するのではなく、合意した別手段で、目的と必要事項を短く伝えます。
- 産業医等に相談:連絡頻度、窓口、必要な確認事項を見直します。担当者だけで病状や就労可能性を判断しません。
- 事務手続きと安否確認を分ける:通常の連絡困難時は、事前に決めた連絡先・手順を確認します。生命・身体への具体的な危険が疑われるときは通常の返信待ちにせず、状況に応じて119番等への緊急対応を優先します。
- 事実を記録:連絡日時、方法、目的、本人の希望、次の対応を残します。
返信がないことだけで懲戒や退職の扱いを直ちに決めず、就業規則、本人の状態、連絡の経緯を踏まえて労務・法律の専門家へ確認します。休職満了に関する通知も、十分な説明と手続きが必要です。
確認する事務事項を一枚にまとめる
| 確認事項 | 担当者が用意する情報 |
|---|---|
| 休職期間 | 開始日・満了日・延長の手続き |
| 給与・保険料等 | 休職中の給与の扱い、社会保険料・住民税の支払い方法 |
| 給付・申請 | 傷病手当金などの申請先、書類、期限、医師記入の段取り |
| 診断書 | 必要な提出時期・提出先・閲覧者 |
| 復職 | 相談窓口、必要書類、面談から復職決定までの流れ |
記録例:連絡日/担当者/連絡方法/案内した手続き/返信の要否と期限/本人の連絡希望/次回予定。病名・服薬などの詳細を、通常の連絡管理表へむやみに記入しないようにします。
よくある質問
上司や同僚からの連絡は禁止ですか?
すべての私的な連絡を一律に禁止するという意味ではありません。会社として必要な連絡は窓口へ集約し、私的な交流は本人の希望を尊重します。「みんな心配しているから返事を」と返答を求めないよう、周囲にも伝えます。
本人から「連絡が怖い」と言われたら?
何が負担かを可能な範囲で確認し、窓口・手段・頻度を調整します。電話をやめて書面にする、必要事項をまとめるなど、本人が見通しを持てる方法を産業医等と検討します。
休職中の本人も、会社へ連絡する必要がありますか?
休職手続きの連絡ルールは、就業規則や休職時の案内で確認してください。体調上の理由で対応が難しい場合は、その旨と希望する方法を窓口へ伝え、主治医等にも相談します。すべての連絡を無視してよいという意味ではありません。
復職の話を始めるタイミングは?
手続きの流れは休職時に案内しておき、具体的な復職検討は本人の希望と主治医等の意見を確認して進めます。復職診断書を受け取った後の確認手順もご覧ください。
情報共有の範囲は、健康情報を上司に伝える際の考え方も参考になります。
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従業員の氏名・診断書など、個人の健康情報は記載しないでください。


