テレワークが当たり前になった現代、働き方の自由度は高まりましたが、一方で「健康管理」が新たな課題として浮かび上がっています。この記事では、産業医の視点から、テレワーク環境で健康を保つための具体的なポイントや、企業がとるべき対策について、わかりやすく解説します。
テレワークで起こりやすい健康トラブルとは?
1. 運動不足による体力低下
通勤がなくなることで、1日の歩数は激減します。その結果、筋力低下や肥満、生活習慣病のリスクが高まります。
2. 長時間の座り作業で肩こり・腰痛
オフィスと違って、自宅では正しい姿勢を保ちにくく、慢性的な腰痛や肩こりにつながることがあります。
3. メンタル不調・孤立感
人との接触が少なくなることで、孤独感や不安感が増し、うつ病や不眠などのメンタル不調が起きやすくなります。
4. 仕事と私生活の境界が曖昧に
自宅で仕事をすることでオン・オフの切り替えが難しくなり、常に仕事モードが続くことで慢性的な疲労感を招くことも。
テレワークで健康を保つための5つのポイント(個人編)
1. 1時間に1回はストレッチ!
長時間座りっぱなしはNG。1時間に1回は立ち上がって、肩回し・前屈・体側伸ばしなど軽いストレッチを行いましょう。目の疲れを防ぐには、遠くを見る「20-20-20ルール」もおすすめです。
2. 自宅の作業環境を整える
椅子の高さ、モニターの位置、キーボードの配置を見直して、姿勢を改善しましょう。可能であれば、スタンディングデスクの導入も有効です。
3. オンラインでつながる時間を確保
雑談や相談の時間を意識的に作ることで、孤立感やストレスを軽減。オンラインランチ会や、雑談チャンネルの設置も効果的です。
4. 明確な「仕事の終わり時間」を設定
仕事と私生活をきちんと分けることで、心と体のリカバリーが可能になります。業務終了後はパソコンを閉じて、趣味や運動の時間を大切に。
5. 毎日の「健康ルーティン」を作る
朝の軽い運動、昼休みの散歩、夕方のリフレクションなど、1日の中に習慣的に健康行動を組み込むと、無理なく継続できます。
企業が取り組むべき健康対策(組織編)
1. 健康に関する情報提供・教育
定期的なメルマガ配信やオンラインセミナーで、従業員の健康リテラシーを高めましょう。テーマ例:運動、食事、睡眠、メンタルケアなど。
2. 相談体制の整備
産業医・保健師によるオンライン相談窓口を用意。匿名で気軽に相談できるチャット形式の導入もおすすめです。
3. 健康イベントの開催
ウォーキングチャレンジやストレッチ動画の配信、オンラインフィットネスなど、参加型イベントで楽しみながら健康意識を高めましょう。
4. 働き方の柔軟な見直し
業務時間の実態を把握し、長時間労働や深夜残業を防止。フレックスタイムや短時間勤務の導入で、個々の事情に応じた働き方を支援します。
産業医が果たすべき役割とは?
産業医は、従業員の心身の健康を守る専門家です。
- 健康情報の提供と啓発
- 作業環境のアドバイス
- メンタルヘルスの支援
- 健康診断後のフォローアップ
テレワーク環境下では、従業員との距離が遠くなりがちな分、産業医が企業と協力して健康課題を早期に把握・対応することがより重要になります。
また、企業の「健康経営」施策に対して、医学的根拠をもとにアドバイスすることで、実効性のある戦略的な健康支援が可能になります。
まとめ:健康的なテレワークの実現には「個人」と「企業」の両輪が必要
テレワークは、今後も長期的に活用される働き方の一つです。だからこそ、個人の工夫と企業のサポートが両立して初めて、健康的で生産性の高い働き方が実現できます。
産業医と連携しながら、健康経営を強化することで、従業員のウェルビーイング(幸福感)と企業の持続可能性の両立を目指しましょう。
この記事が参考になった方は、ぜひ職場での健康施策に役立ててください。
テレワークの健康管理に関するご相談は、当産業医事務所までお気軽にどうぞ。